先日行っていたコンサルティングで、ある社長さんにこんな話を聞きました。
「ブランディングを連呼してるデザイン会社のせいで、ブランディングって結局どういうことなのか、わからなくなって混乱してるんですよね…」
その人はあるメーカーを経営している、若く勉強熱心な社長さん。
数十万円するセミナーにたくさん参加して、ブランディングやPR、プロモーションなどに関してとても精力的に勉強されていました。
その中で「ブランディング」が何を指していることなのかわからず、概観がつかめず、混乱している、とのことでした。
すこし辛辣ですが、その質問に対する僕の答えはひと言…
「そうすればワケわかってない社長さんが高い金を払ってくれるからですよ(笑)」
社長さん「それ僕のことじゃないですか…(^^;)」
あなたもこうした状態で数十万円のお金を払い続けてませんか?
今日はそんな状況を少し整理するためのコンテンツをシェアしておこうと思います。
「ブランディング」という方便に騙される社長さんたち
さて「ブランディング」という言葉を聞いて、どんな活動をイメージしますか?
- かっこいいwebサイトをつくること、
- かっこいいデザインの商品をつくること、
- 価値観やビジョンをかっこよく表現すること、
- イケてる画像や動画をSNSフィード上に並べること、
- モデルやタレントを使ってテレビCMを打つこと、などなど…
こうしたことをイメージする社長さんは多いと思います。
でもこれって実は「ブランディング」という言葉に踊らされている社長さんがよくやってしまっている行動だったりします。
「ブランディング」という言葉を使うことで、自分や自社をよく見せたい社長さんからの印象が良くなり、単価のアップに成功しやすいことをデザイン会社や制作会社、PR会社や広告代理店はよく知っているんです。
そして「ブランディング」といえば、たとえば集客結果のような目に見える実績がなくても、なんとなく価値を受け取ったような気がしてくるもの。
これってデザイン会社、制作会社、PR会社や広告代理店にとって、とても都合がよい状況なんですね。
だから「ブランディング」という言葉が一人歩きする…。
そうした事業者にとって都合の良いように「ブランディングの定義」が乱立して、結果、多くの社長さんが「よくわかんないからプロに任せてみよう」と高い金を払う、そんな背景があったりします。
「かっこよく見せたい」というエゴが目を曇らせる
僕の経験上、「自分や自社をかっこよく見せたい」というエゴや欲求がある社長さんほど、ブランディングという言葉に踊らされて高い金を払いつつ、何も成果を得ていない、というケースがとっても多いです。
そして、デザイン会社や制作会社、PR会社や広告代理店は、そうしたエゴを巧みに刺激してくるのです。「インナーブランディング」「アウターブランディング」なんて言葉ができているのもこのため。
インナーブランディングとは、社内に対して行われるブランディング。
アウターブランディングは、社外に行われるブランディング。
インナーブランディングなんて言葉を使っていますが、要は社内向けの理念や価値観の共有と、人材教育のことを指しているだけだったりします。それだけなのに、それをかっこよく演出するために数十万円、数百万円の制作費用を請求されてしまう…という事例を山ほど耳にします。
これも「自分をよく見せたい、自社をよく見せたい、イケてる会社の社長でありたい」というエゴを大きく刺激された結果だったりします。
自分目線・自社目線を捨てきれてないので、そこを突かれてるカンジです。
「ブランディング」商法に騙されないためには?
ブランディングは結局、お客さまにどう見られるかを戦略的に決めて、それを一貫して実施するための取り組みでしかありません。
あくまでマーケット目線・お客さま目線からどう見えるか?にフォーカスしないとエゴや欲求に囚われて余計なお金を払うことになってしまいます。
ただ、別にいいんです。
エゴや欲求に基づいてブランディングにお金をつっこむこと自体、全然否定はしません。そうすることでモチベーションが高まって事業運営や経営判断をきちんと行えるようになるのであれば、それに越したことはありません。
しかし、同じ数十万、数百万円を使うのであれば、それを広告費や集客に使えば売上が上がり、社員の給与を上げることができるかもしれません。社員教育やマネージャー教育に使えば、社員の満足度を大きく高めることができるかもしれません。
こちらの方がよっぽど現実的に実利を得られるのにな、というのがハタから見る側の感想だったりします。
「ブランディング」は「お客さま目線」を手放さなければうまくいく
お客さまにとって「ここはヨソと違って◯◯だな」と思ってもらう。
この「◯◯」を作り込む作業がブランディングです。
- ヨソと違って雰囲気がいい
- ヨソと違ってスタッフとのやりとりが楽しい
- ヨソと違って商品がカワイイ
- ヨソと違って未来を見据えたモノづくりをしている
- ヨソと違って本気で悩みに寄り添ってくれる
こうしたお客さま目線からみて「ここはヨソとは違う」というレッテルを貼ってもらうために頭を使うこと。これがホントに事業経営にプラスになるブランディングだったりします。
他人にレッテルを貼られる前に、自らそのレッテルを作り込む、こうした活動に他ならない、というのが自分から見たホンモノのブランディングです。
ぜひこの視点を活かしてみてください。
あなたの成功を祈っています。