先日あるメーカーの部長さんから相談がありました。
その会社は、この春にD2C事業を初めて立ち上げたメーカーさん。
集客で苦戦しており、社内会議で「D2Cで反応がとれる商品がないからでは?」という指摘が経営陣からあった、とのことでした。
これまで取引先の要望を詳しくヒアリングした上でのB2B商品開発は行なっていたものの、顔が見えずらいD2C向けの商品開発は行なったことがなく、どうすればいいのかわからない…との相談でした。
こうした「商品開発をどう進めれば?」という相談は少なくありません。
そこで今回は、一番カンタンで実践しやすい、売れる新商品開発の秘訣をシェアしたいと思います。
売れる商品がなければ、どんなにマーケティングがうまくても売れない
実際このメーカーの経営陣の方々のご指摘は的を射ていて、素晴らしい商品がなければ、素晴らしいマーケティングを実践したとしても売上をつくることはできません。
たとえ1回買ってもらえたとしてもお客様の期待を超える商品でなければリピートしてもらうことができません。そしてD2C事業はほぼ全て、2回目以降の購入でようやく収益が取れる、という戦略でしか収益化が難しいです。
このため、最初のお買い物でユーザーが不満を持ってしまう商品では、2回目以降に買ってくれない顧客を増やすばかりで、骨折り損な結果に陥ります。
「ゼロからの商品開発」は方向性が無限にありすぎて迷う
そしてこのメーカーさんが悩んでいたのが「最初の商品開発」であるため、方向性や選択肢がありすぎて「どういった商品づくりをすればいいのかわからない」というものでした。
たしかに選択肢が無限にあると、どれを選んでも正解のように思えますし、不正解を選んでしまってもそこで方向性が固まってしまう…とも思えますよね。
スタート地点から動けなくなってしまうのもすごくよくわかります。
そこでこうした状況を打破するための2ステップをアドバイスしました。
2段構えでマーケットにウケる商品をつくる
STEP1)最初は目的を明確にする
最初は商品づくりの目的をハッキリとさせるところから始めました。
D2C事業で最も大切な商品は何か?
そこから商品開発を進めましょう、と。
そしてD2C事業で最も大切な商品とは…
「見込み客」から「顧客」に変わってもらうための最初の商品、いわゆる「入口商品」です。これを最初につくりましょう、とご提案しました。
入口商品は粗利が大きいものが望ましいのですが、そこはメーカーという強みを活かせる領域でもあったからです。ライバルは商品を仕入れてそれを入口商品します。
一方、メーカーは商品自体を作れるので粗利の面で圧倒的な優位性があります。
STEP2)マーケットで最も売れている商品のレビューを見まくる
「入口商品」をつくることが固まりました。
次はどのような「入口商品」をつくるかですが、この答えはマーケットにしかありません。なので、Amazonでも楽天でもいいので、最も売れている商品のレビューを見まくることからオススメしています。
楽天が最もわかりやすいのですが、楽天は商品を検索したとき、最も売れている商品から検索上位に表示される仕様になっています。なので、扱う商品分野を検索して、その1〜5位の商品を見れば「今最も売れている商品」が自動的に並んでくれます。
そして、そうした商品についたレビューを読み込みます。
5つ星のレビューにどんなコメントがついてるか?を観察することで「お客様が最も喜ぶ商品の特性」をリサーチすることができます。
1つ星のレビューを観察することで「お客様が最も嫌がる商品の特性」をリサーチすることができます。
3〜4つ星のレビューを観察することで「お客様が不満や物足りない、と感じている商品の特性」を把握することができます。
これによってかなり具体的に商品の方向性を固めることができるでしょう。
実際に商品を買ってもらうことも大切なリサーチ
この方法をお話ししただけで、それまで悩んでいた部長さんの顔が晴れやかに変わりました。やはり「何をすればいいのかわからない」という状態が最も苦しいんですよね。
そして、アドバイスしたのが
「実際に評価されている商品を購入してみることも大切」ということ。
お客様の声を参考にしながら、自分たちも体験することで「こういった商品は、これくらいのクオリティだから売れるんだ」というのが肌感覚で理解できます。
これは商品づくりにおいて最も重要な「品質の基準」を固めるのにとても役立つリサーチになります。基準があれば製造部門も手をつけやすくなりますからね。
こうしたマーケット主導の商品開発をすれば、大外しをすることがなくなります。
最もカンタンで効果的な商品開発のプロセスだと思います。
ホントはポジショニングや価格戦略などもっと重要な要素がありますが…
本当は新商品づくりにおいて、より重要な「ポジショニング」や「価格戦略」などの要素がありますが、最初から欲張ってはそれはそれで「動くに動けない状態」を呼び込んでしまいます。
ぜひあなたも商品開発の第一ステップとして、今日ご紹介した方法を試してみてくださいね。あなたの事業の成功を心から願っています。